ウェイトコントロールと競技パフォーマンス
スポーツの多くは体重を移動することで成り立っており、体重の増減は競技パフォーマンスを左右します。
特に女性は男性よりも多くの体脂肪を蓄えるようになっていることからウェイトコントロールが重要視される傾向になっています。
しかし、減らしたいのが体脂肪であるのに対して骨格筋を減らしてしまう場合もあり、また発育発達期から成熟期の女性アスリートにおけるウェイトコントロールは生活にも影響を及ぼします。
体重コントロールと糖質制限
体重を減少させるのに最も簡単な方法は身体から水分を排出させることになります。
摂取した炭水化物は主にグリコーゲンとして体内で筋肉や肝臓に貯蔵されます。
グリコーゲン1gに対して約3倍の水分が一緒に蓄えられるために、炭水化物摂取量を制限すると短期的に体重は減少します。
しかし、体内の糖質不足は糖新生を引き起こし、筋タンパク質を分解してエネルギーを作り出します。
したがって、体重増加を気にするあまり、炭水化物摂取を制限した結果、体内の糖質不足が生じ、糖新生により筋量が減少するために、体力低下に陥り、基礎代謝や造血機能を低下させます。
また、骨格筋のグリコーゲン量に応じて持久力が高まることが証明されており、運動における炭水化物の重要性が明らかになっています。
ストレスと体重
脳は生体の恒常性を維持するために視床下部を介して生体の内部環境を常に調節しています。
ストレスが大脳辺縁系-視床下部を介して、女性の内分泌に及ぼす影響は、ストレスが慢性的ならびに一過性の過食や拒食を生じさせます。
視床下部腹内側核(VHM)は交感神経系の中枢として機能し、交感神経を介して腹部臓器や脂肪細胞の機能を調節しています。
VMHは満腹中枢とも呼ばれ、VMHを破壊したラットは高度に肥満することが知られています。
一方、VMHにはレプチンの受容体が大量に存在しますが、ストレスによってVMHが何らかの影響を受けた場合、レプチンによる中枢の食欲抑制作用も低下し、脂肪分解、燃焼も抑制されることが考えられています。
したがって、ストレスを上手にコントロールすることが適切なウェイトコントロールに結びつくと思われ、これは、オーバートレーニングは避けなければならないストレスという根拠にもなります。
オーバートレーニング予防のためのチェックリスト(ワイツほか、1986)
1.正常なペースであるにもかかわらず息切れしていないか? |
2.ハードな練習やレースの後に、脚が重く感じる期間がいつもよりも長くないか? |
3.昇り階段を特につらく感じるか? |
4.トレーニングに不安を感じるか? |
5.朝の離床を特につらく感じるか? |
6.食欲不振が持続しているか? |
7.風邪、インフルエンザ、頭痛、感染症にかかりやすいか? |
8.心拍数が通常よりも5~10拍ほど多いか? |
9.運動中の心拍数が通常よりも多いか? |
引用・索引 石井好二郎 運動療法の安全性および有効性を高める食事療法、肥満研究11,149-154 2005
Weight Loss For Women, Female Athletes & Body Composition w/ Dr. Susan Kleiner

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