前十字靭帯損傷とストレングストレーニング
運動とは
運動とは、骨格系、特に関節に作用する筋の力が、トルクやモーメントを生み出して、回旋、ひねり、曲げなどの動作として現れたものになります。
これらの動作は、筋が受ける刺激の強さと筋における力発揮の大きさによって左右され、筋によって生み出される力の最大量がその筋の筋力であり、筋力はトレーニングによって変わります。
ストレングストレーニングとは
筋に、現在のレベルを超えた力を発揮させるような要求、すなわち過負荷を与え続けると神経筋系の適応が生じて筋サイズが増大し、運動単位の動員が増加し、主働筋のコーディネーションが向上、これらが筋力に影響を及ぼします。
ストレングストレーニングは、この適応原則を生かして身体に漸進的な過負荷を与え、さらなる適応を引き出して、それによって筋力の増大と競技パフォーマンスの向上を目指すものです。
ストレングストレーニングと共収縮
ストレングストレーニングは、特異的に訓練された筋の筋力を増加させて最大随意筋活動を増大させますが、これが、1RMテストのスコアと競技パフォーマンスの向上という形で現れます。
女子レクリエーションアスリートを対象として、大腿四頭筋、ハムストリング、大殿筋、中殿筋の発達に重点を置くストレングストレーニングを実施したところ、これらの筋群における筋力が平均35~48%増加しました。
ACLの歪み減少にハムストリングの共収縮が果たす役割を考えると、ハムストリングの筋力増大は重要な要素になります。
床反力とピーク前方剪断力
女子アスリートを対象としたストレングストレーニングを実施し、そのトレーニングに参加した被験者と参加しなかった被験者の着地メカニズムの評価を行った研究では、参加した被験者のストレングストレーニング後には床反力の低下も認められました。
ストレングストレーニングプログラムに参加した被験者のほうが、鉛直方向のピーク床反力の減少が大きく、またトレーニング参加群では、膝関節に働くピーク前方剪断力も減少しました(不参加群では増加)。
上記のことを踏まえ、レジスタンストレーニングは競技パフォーマンスにとって確固として基礎を築くため、総合的トレーニングには欠かせない要素になり、膝関節の外反と股関節の内転を減少させ、筋力を増加させ膝関節の屈曲角を増大させることが示されています。
引用・索引 Asci A and Acikada C.Power production among different sports with similar maximum strength.J Strength Cond Res21:10-16.2006

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