異化と同化
激しいエクササイズを行った後、身体は主に”異化状態”にあり、それは、コルチゾールなどのストレスホルモンの濃度が上昇し、筋グリコーゲンなどの主要燃料の貯蔵量が低下、時には枯渇します。
回復と有益な適応を至適速度で生じさせるためには、この異化状態を”同化状態”へと変化させなければなりません。
このような変化を引き起こすためには、運動後の適切な栄養摂取を、適切なタイミングで行うことが非常に重要になります。
※同化過程は、器官や組織を「組み立てる」方向に働く。
運動後の栄養補給の重要性
運動後の栄養補給は、栄養刺激に対する筋の感受性は運動直後に高まり、その後、最大限に高まった状態が約30~60分持続します。
この期間に栄養分を摂取すると筋グリコーゲンの補充速度と、筋タンパク質合成の活性化速度が最大限に上昇します。
さらに、栄養摂取は、カタボリック(異化)ストレスホルモンの応答を緩和し、タンパク質のさらなる分解を防ぐことで、タンパク質の増加を加速させる可能性があります。
また、タンパク質に糖質を組み合わせると、いずれか一方の主要栄養素のみ摂取するよりも大きな効果が得られます。
この2つは、それぞれ糖質とタンパク質の代謝経路にかかわるシグナル経路を活性化させますが、それらは別々の経路でありながら、協同して働くためです。
筋グリコーゲン貯蔵量の増加とタンパク質の増加は、あらゆるレジスタンストレーニングプログラムの主目標であり、迅速な回復および筋量と筋力の増大をもたらすます。
さらに、運動中および運動後の適切な栄養補給は、運動によって誘発される免疫機能の低下を予防する効果もあります。
筋グリコーゲンの重要性
筋グリコーゲンは持久系エクササイズの選手において非常に重要であると論じられていますが、レジスタンスエクササイズにおいても非常に重要になります。
筋グリコーゲンの貯蔵量は、激しいレジスタンスエクササイズの実施後に大幅に減少する可能性があり、質の高いワークアウトを確実に行うためには、次のエクササイズまでにグリコーゲンが回復していることが重要になります。
より効果的な回復ができていれば、トレーニング負荷をより速いペースで増大させ、トレーニングに対する適応をより多く引き出すことが可能になると考えられます。
糖質とタンパク質摂取の有益性
糖質を一度に多量に摂取するよりも、中程度の量の糖質を、少量のタンパク質とともに摂取するアプローチが研究では推奨されています。
実際、そのように糖質とタンパク質を合わせて摂取すると、糖質を高頻度で多量に摂取した場合と同程度に、運動後の筋グリコーゲン再合成が増大することが明らかになっています。
最も効果的とされている糖質(CHO)とタンパク質(PRO)の量は、運動の直後から2時間おきに摂取する場合、CHOが体重1kg当たり1.2~1.5g、PROが同0.4~0.6gになります。
※ただし、レジスタンストレーニングの場合には、糖質の貯蔵量が長時間の持久系エクササイズほど減少しないため、CHOの摂取を体重1kg当たり1.0~1.2gに減らします。
インスリン感受性と糖質摂取
グリコーゲンを消耗する運動を行った後は、十分な量の糖質を補給しない限り、筋グリコーゲンの貯蔵量はほとんど増加しないことを認識しておく必要があります。
したがって、運動後の早期の糖質摂取は、グリコーゲン再合成に手早く利用できる基質源を筋に提供し、なおかつ筋活動により高まっている筋のインスリン感受性を活用できる点で有益になります。
さらに、運動直後の摂取は、インスリン感受性の低下を遅らせる働きがあり、2時間おきかそれ以上の頻度で摂取することにより、運動後最大8時間の間、グリコーゲン貯蔵量の比較的迅速な増加ペースが維持される可能性があります。
引用・索引Badet C and Quero F,The in vitro effect of manuka Honeys on growth and adherence of oral bacteria Anaerobe 17:19-22.2011
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