プッシュアップのバリエーション
プッシュアップはサスペンション器具や、手の位置を調節する特別な器具や用具を用いて行うこともできます。
Beachらは、サスペンディッドプッシュアップが標準的なプッシュアップよりも大きなコア筋群の筋活動を誘発することを示しました。
このような器具のひとつであるBOSU Perfect Push-upは、バイオメカニクス的にプッシュアップからより多くの成果を引き出すように設計されています。
プッシュアップの種類による筋活動の違い
Youdasらはこの主張の有効性を検証するために、EMGを利用して、標準的なプッシュアップとPerfect Push-upを用いたプッシュアップにおける筋活動を評価し、プッシュアップ実行中の筋活動を、ノーマルベース、ワイドベース、ナロウベースの3つの手の位置に関して調査しました。
調査した筋は、上腕三頭筋、大胸筋、前鋸筋、三角筋後部になります。
EMG分析の結果、3群の間にいかなる有意差も認められず、研究者らは、標準的なプッシュアップと比較してPerfect Push-upの利用は筋の動員を増大させないようであると結論付けています。
動作スピード
動作スピードの変更もプッシュアップのバイオメカニクスを変えます。
ピークフォース、力の立ち上がり速度、ピーク衝撃力に関して、様々な爆発的プッシュアップの比較が行われています。
Garcia-Massoらは、フォールプッシュアップ(背筋を伸ばした膝立ち姿勢から開始し、床に倒れこんでニープッシュアップを行い、再び膝立ち姿勢から開始し、床に倒れこんでニープッシュアップに戻る爆発的プッシュアップ)、ジャンププッシュアップ(標準的プッシュアップの姿勢から開始し、上半身を床から離す際に身体を床から浮かせ、再び標準的プッシュアップの姿勢に戻る爆発的プッシュアップ)、カウンタームーブメントプッシュアップ(素早い伸張性局面、反転局面、短縮性局面を特徴とするが、身体を床から浮かせずに高速で行うプッシュアップ)を検証しました。
その結果、最大スピードで行われたカウンタームーブメントプッシュアップが、最も高いピークフォースと力の立ち上がり速度を示しました。
これを考慮すると、カウンタームーブメントプッシュアップは衝撃力を伴わない唯一のバリエーションであり、上半身のパワー面の最大化を望む場合には、爆発的バリエーションの中で安全かつ効果的な選択肢であると考えられます。
ただし、高難度のプライオメトリックプッシュアップは、背部の障害を抱えるクライアントにとっては問題となる可能性があり、これはメディスンボールを用いたオルタネイトプライオメトリックプッシュアップでは、腰椎に6,334Nもの圧縮力がかかることが示されているからです。
引用・索引Baumgartner T Oh S,Chung H,Hales D.Objectivity.reliability,and validity for a revised push-Up test validity protocol Meas Phys Educ Exerc Sci6:225-242:2002

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