栄養ドリンクが競技能力を向上させるのはなぜか?
栄養ドリンクは、ワークアウトの質や競技パフォーマンスを向上させる目的で、エクササイズの前や試合前の栄養補給として利用されることが多く、カフェインは長年にわたり運動能力増強物質として利用されています。
しかし、カフェインが効果が認められているのは、持久系競技においてになり、持久系競技においては、疲労までの時間が延長されることが報告されています。
このような疲労の遅延は、脂肪酸化を増加させ、それにより筋グリコーゲン濃度を保つことで、運動時の代謝を変化させるカフェインの力に関連していると考えられています。
カフェインは筋小胞体からの細胞内カルシウムイオンの動員を加速して、筋収縮効率を向上させるとともに、糖分解調節酵素の反応速度を向上させることによって、筋力およびパワーを増大させることも示唆されています。
栄養ドリンクの効果(カフェインは3~9mg/kgを摂取することにより体脂肪減少、運動能力増強効果がある)
カフェインと競技パフォーマンス
栄養ドリンクの運動能力増強作用を増幅させるために、カフェインは他の成分と併用され、それにより相乗効果が生まれパフォーマンス反応が増大する可能性があるとされています。
近年の複数の研究により、エクササイズ前の栄養サプリメント摂取が疲労を遅延させ、レジスタンストレーニングのワークアウトの質を向上させることが判明しています。
カフェイン450mgとガルシニア1,200mg(ヒドロキシクエン酸50%)、シトラスオーランティアム抽出物360mg(6%)、クロムポリニコチナート225μgを含む栄養強化コーヒー飲料を摂取した被験者は、カフェイン抜きのコーヒー飲料を摂取した被験者と比べて、自転車エルゴメーターエクササイズ中の疲労困憊に達する時間が29%延長し、有意な向上が認められました。
カフェイン摂取により筋肉痛・炎症を抑制し回復を促す(筋肉の最大収縮における疼痛を有意に軽減、炎症時に分泌されるアデノシンをカフェインがブロックすることで疼痛が軽減される)
Red Bullは、注意力を向上させる
栄養ドリンクは持久系パフォーマンスとレジスタンスエクササイズのワークアウトの質を向上させます。
しかし、多くのアスリートが栄養ドリンクを使用する主目的は、その興奮作用、特に集中力、注意力、反応時間の向上にあります。
人気栄養ドリンクのRed Bullは、注意力を向上させることによって、選択的反応時間や集中力や記憶力を向上させ、認知的パフォーマンスを改善させることが示されています。
これは、トレーニング量が増大すると、エクササイズに対する成長ホルモンとインスリンの応答が増大することも示され、エクササイズ前の栄養補給がトレーニングセッションに対する同化反応を向上させることを示唆しています。
カフェインと筋量増加(エピネフリン:アドレナリンの別名)の分泌がうながされ、筋肉の収縮が強まる)
栄養ドリンクの安全性(β作用体化合物を含む栄養ドリンクにおいて運動熱耐性を低下させたり、体温調節を損なう可能性がある)
引用・索引 Strength & Conditioning Journal Volumes32 Number1 pages15-20