スタチンとは
スタチン、別名HMG-CoA還元酵素阻害薬は、コレステロール合成経路の律速段階を阻害する脂質低下薬の総称になります。
血中コレステロール濃度の低下に有効なだけではなく、お客の耐性が一般に極めて高いことで知られています。
スタチンは、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)の血中濃度を低下させるため、冠状動脈疾患の心臓血管系における危険因子の低減に有効になります。
有酸素性エネルギー産生(酸素で消化吸収された栄養素(糖質、脂質、タンパク質)を水と炭酸ガスまで分解しATPを再合成を行い、エネルギーを生み出す仕組み)
脂質低下薬と副作用
血中コレステロール濃度の降下(脂質低下)として用いられるスタチンには多くの副作用があり、そのひとつがミオパシーになります。
ミオパシーとは、筋疾患を指す総称であり、筋力低下などの軽度の症状から、横紋筋融解症(血中クレアチンキナーゼ(CK)の増加:10倍)を特徴とし、一般に褐色尿/ミオグロビン尿を伴う筋の症状)や、腎不全にいたるなどの重篤な症状まで多岐にわたります。
これまでの研究によると、スタチンの服用量が増すとLDL-Cが減って、心臓血管系リスクが効果的に低下する一方で、高用量になるほどスタチン誘発性ミオパシーのリスクが高まることが判明しています。
心臓血管系トレーニングの循環器系への生理学的作用(心拍出量の増加や心拍数の減少による心臓機能の獲得、ミトコンドリアの増加、筋グリコーゲンの増加)
スタチンの併用と運動
スタチン誘発性筋痛の明確な機序は、十分には解明されていませんが、運動者がスタチンを服用しているとミオパシーの発症率が劇的に増加することが判明しています。
運動とスタチン療法がそれぞれ個別に血中CK濃度を増加させることは初期の研究により判明しています。
Sinzinger&O`Gradyらの8年間にわたる研究によると、副作用やパフォーマンスの減衰無しにスタチン療法に耐えられるのは、プロアスリートの20%に過ぎないという結論が導き出されています。
特に、運動を伴う場合に血中CK濃度だけを筋損傷マーカーとして利用すると、スタチン関連ミオパシーの重症度を過小評価することに留意するべきとされています。
また、加齢と併用投薬(これも加齢に伴い増える)が、スタチンの副作用を悪化させることも判明しており、実際、Scottらによる縦断的研究の結果は、高齢者におけるスタチン療法は筋力と筋の質を大きく低下させる可能性があることを示唆しています。
さらにスタチンの服用を中止した被験者は、服用を継続した被験者と比較して、調査期間中の脚の筋力と筋の質の低下が有意に小さかったことも報告しています。
筋損傷と筋肥大(マクロファージ(大食細胞)は、筋で合成されたサイトカイン(マイオカイン)の分泌を通して筋肥大を媒介する)
引用・索引 Meador BM Huey KA Statin associated myopathy and its exacerbation with exercise Muscle Nerve42:469-479.2010