有酸素運動とレジスタンストレーニングの組み合わせ
有酸素性トレーニングとレジスタンストレーニングは、インスリン抵抗性を管理する上で同等の効果を有しますが、いずれか一方のみ行うよりも、両方のトレーニングを組み合わせ、いずれか一方のみの場合よりもエクササイズ合計時間を長くして行うほうが、血糖コントロールにより大きな効果を発揮するとみられます。
エクササイズ初心者向けに両方のエクササイズを組み合わせる効果的な手段としては、有酸素とレジスタンスを交互に行うサーキットトレーニングプログラムが挙げられ、これならば、余分に休息時間を増やすことなく、各筋群により長い回復時間を与えることができます。
もうひとつの方策として、レジスタンストレーニングの日には有酸素トレーニングの時間を短縮し、レジスタンストレーニングを行わない日には有酸素性トレーニングの時間を長くするという方法もあります。
安全への配慮
インスリン抵抗性を有する人は、他にも共存症を有することが多く、これらの共存症(肥満、整形外科疾患、心臓血管系疾患など)がエクササイズにおける能力や耐性を制限することが珍しくありません。
例えば、高血圧の人は、高血圧反応を避けるために、レジスタンストレーニングの強度を下げ、血圧を頻繁にモニタリングすることが推奨され、安全策としては、以下のいくつかの方法が挙げられます。
第一にエクササイズ専門職は、すべてのクライアントとの間に十分な信頼関係とコミュニケーションを確立しなければならず、クライアントが服用している薬があるならば、緊急時やエクササイズ中に通常とは異なる反応がみられた際に備えるとともに、服用する薬が変わった場合は、その都度情報を亢進しなければなりません。
また、インスリン抵抗性を有する人の場合、最初のうちは運動前後に血糖値をモニタリングすることが推奨されます。
低血糖症は、インスリン抵抗性を有する人には起こりにくいですが、エクササイズに激しい反応を示した場合に備えてモニタリングしておく必要があります。
低血糖症を起こした場合は、高グリセミック指数の炭水化物(アップルジュースなど)を15g摂取するとよく、エクササイズ専門職は、約15分後に血糖値を再び正常の範囲内に戻っていることを確認します。
通常、低血糖症(血糖値が70mg/dl以下)を起こした人は、血糖値が正常の範囲に戻るまでエクササイズを行ってはなりません。
クライアントの運動前の血糖値が100mg/dl以下であった場合や、長時間また高強度のエクササイズを行う場合には、手軽に摂れる炭水化物食品15gを用意しておくことが推奨されます。
低血糖症および高血糖症の典型的症状
低血糖症(血糖値70mg/dl以下) | 高血糖症(血糖値300mg/dl以上) |
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気が遠くなる感覚 | 脱力感 |
手の震え | のどの渇き |
大量の発汗 | 口唇の渇き |
めまい | 吐き気 |
疲労感 | 嘔吐 |
歩行が不安定/強調動作がうまくできない | 息からアセトン臭 |
かすみ目 | クスマウル呼吸 |
意識喪失 | |
集中力の欠如 | |
ろれつが回らない |
引用・索引引用・索引Badet C and Quero F,The in vitro effect of manuka Honeys on growth and adherence of oral bacteria Anaerobe 17:19-22.2011
Best Exercise For Insulin Resistance | How To Rapidly Increase Insulin Sensitivity

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