クランチのバリエーション
クランチとそのバリエーションは、他のコア(体幹)の筋群よりも腹直筋に特に的を絞ったエクササイズであることが知られています。
McGillによると、クランチのバリエーションは腹直筋の最大随意収縮(MVC)の約50%を活性化ましたが、これに対して、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋、大腰筋はそれぞれMVCの20%、10%、10%、10%だけ活性化したことが示されました。
筋の横断面積と筋力との直接的な相関関係が指摘できるとすれば、筋肥大は、広範囲なコアの筋力を必要とするアスリートにとって特別な重要性をもちます。
伸張性筋収縮と筋肥大
ダイナミックな運動が筋肥大に優れており、部分的には伸張性要素に起因し、伸張性要素が筋の発達促進に最も大きな効果を持つことが明らかになっています。
伸張性エクササイズは、速筋線維の優先的な動員と、従来活動していなかった運動単位の動員に関係付けられています。
速筋線維に最も大きな成長の可能性があるとすれば、それらの動員は必然的に、筋の横断面積の大きな増加要因となります。
さらに伸張性エクササイズは筋のより大きな損傷を伴い、それが筋肥大反応を引き起こすことも知られており、伸張性エクササイズにより生じる筋の損傷は、MyoDタンパク質伝令RNAの発現により亢進し、またサテライト細胞の増殖と分化を制御する様々な細胞増殖因子の放出にも関連があるとされています。
さらに、ダイナミックな筋活動はスタティックな筋活動よりも著しく大きな代謝ストレスを誘発することが知られています。
具体的には、乳酸、水素イオン、無機リン酸などの代謝産物が増加することにより、筋肥大が誘発されることが明らかになっています。
一部の研究者は、筋の最大限の発達を促すためには、大きな張力発揮よりも、むしろ代謝ストレスがより重要であると推測しています。
ストレスが筋肥大を増大させる理論的メカニズムとしては、ホルモン環境の変化、細胞腫大、フリーラジカルの産生、成長を促す転写因子の増加などが挙げられます。
Russの研究
RussはmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)経路の情報伝達に関連のある、Akt(タンパク質の合成を促進するプロテインキナーゼ)のリン酸化反応が、等尺性収縮と比べ、伸張性収縮で際立って大きいことを示しました。
これは、より高い代謝ストレスとより大きな筋損傷、あるいはその両方の組み合わせに起因すると思われます。
引用・索引School of Health and Sports Sciences Universitat de Girona Salt Catalonia Spain46-47
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