腰痛と運動の反復
一定方向の運動を反復することは、腰痛(LBP)の症状に影響を及ぼします。
運動パターンには症状を悪化させるものも、緩和させるものもあり、後者はクライアントが運動を行うための準備に役立ちます。
クライアントが症状が緩和したと気づく運動方向は、クライアントにとって「好ましい運動方向(Directional Preference)」であり、LBPの改善に効果的であることが示唆されます。
一方で、運動に伴いLBPが増悪し、痛みが脚部への下方へ放散する現象は「末梢化(Peripheralization)」と呼ばれ、これは症状の悪化を意味するため、末梢化を起こす運動は避けるべきとされています。
腰部痛が改善する運動方向の介入
最近の体系的レビューにより、LBPの管理に、症状が改善する運動方向を取り入れることが効果的であるとの結果が得られました。
Surkittらは、6件の異なるランダム化比較試験を評価し、症状を改善する運動方向で介入を行うと、他の介入に比べ、より良好な結果が得られたことが証明されました。
また、Longらによる一連の症例研究では、症状を改善する運動方向に反する運動療法を受けたLBPお客は施術結果が思わしくなかったこと、施術のパラメーターを修正し、お客にとって好ましい運動方向と一致させた時点で症状が改善に転じたことが記載されています。
さらに、大規模なランダム化比較試験では、症状を改善する運動方向を決定する標準化診断を行ない、急性、亜急性また慢性のLBPを有する312名のお客を評価しました。
研究者らは、好ましい運動方向と一致しない介入を受けたクライアントに比べて、一致する介入を受けたお客のほうが、症状が有意に改善したことを明らかにしました(p<0.001)。
伸展と屈曲
前述の研究の被験者は、LBPの施術を求めるお客でしたが、症状を改善する運動方向の概念は、施術中のお客だけに当てはまるわけではなく、クライアントがコンディショニングプログラムに快適に参加できるようにするために、施術と同様の枠組みを使って、具体的な運動適応と修正の方法を決定することです。
大多数のクライアントにとって、伸展と屈曲という2つの主要な運動方向を検討する必要があり、単に、ニュートラルな脊椎の位置(屈曲と伸展の中間)が好ましいクライアントもおり、症状の改善に効果的な2つの運動方向とニュートラルな脊椎姿勢について考察が必要になります。
引用・索引School of Health and Sports Sciences Universitat de Girona Salt Catalonia Spain46-47
7 Simple Core Exercises That Prevent Lower Back Pain

非特異的腰痛のリハビリテーション (痛みの理学療法シリーズ)
- 発売日: 2018/11/05
- メディア: 単行本

腰 痛 ─エビデンスに基づく予防とリハビリテーション─【原著第3版】〔Web 動画つき〕
- 作者:Stuart McGill
- 発売日: 2017/05/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)

筋・筋膜性腰痛のメカニズムとリハビリテーション (Sports Physical Therapy Seminar Ser)
- 発売日: 2010/03/01
- メディア: 単行本