ウェイトリフティング
ウェイトリフティングとパワーリフティングの特徴
ウェイトリフティングとパワーリフティングは混同されやすく、これらのエクササイズはパフォーマンスの特徴が異なっていますが、目標、すなわち、できる限り多くの重量を挙上することは共通しています。
パワーリフターはデッドリフトとバックスクワット、そしてベンチプレスの3種目を行ないます。 相対的に高負荷で行うこと、また運動のバイオメカニクスを前提とすると、通常は、パワーリフティングの開始直後に最大フォースの発揮が観察されます。
対照的にウェイトリフティングでは、負荷スペクトルの全体にわたり高速での最大フォースを発揮することが必要になります。
パワー出力の違い
男性ウェイトリフターのパワー出力を調べた研究レビューにおいて、Garhammerらは、スナッチとクリーンのセカンドプルでは52W/kgであったのに対し、バックスクワットでは12W/kgであったことを指摘しています。
このレビューではまた、ウェイトリフティングとパワーリフティングの両エクササイズにおいて、重量が増加するにつれて発揮パワーが低下することも指摘されました。
しかし、その影響は、エクササイズを完了するための時間が長くなるため、パワーリフティングにおいて一層認められました。 パワーリフティングでは、例えば、1RMの挙上では90%1RMでの挙上に比べ、発揮パワーがおよそ2分の1まで減少しました。
さらに、ウェイトリフティング中とパワーリフティング中の発揮パワーの違いを明確に示すために、O'Sheaは2名の前ワールドチャンピオンが更新したリフティングの世界記録を比較しました。
405kgのデッドリフトを遂行中、Doyle Kenadyは5.57W/kgの発揮パワーを発揮しました。 これに比べ、Alex Pisarenkoが265kgのクリーンを行なった際に発揮したパワーは21.64W/kgになりました。
デッドリフトでは、床から0.40mバーベルを移動するのに2秒かかりますが、クリーンはわずか0.09秒で完了します。
このことから、発揮パワーの増大がとトレーニングの目標であるならば、パワーリフティングはエクササイズとしてはおそらく誤った選択であり、ウェイトリフティングを選択することが妥当であると示唆されます。
発揮パワー
McBrideらの研究では、ウェイトリフティングとパワーリフティングの上級選手を対象に、負荷をかけたジャンプ中の発揮パワーを測定しました。
膝を90°屈曲させた状態から、0,20,40kgの負荷で、また選手の1RMの30,60,90%でのジャンプを行ないました。 そして負荷にかかわらず、ウェイトリフティング選手のほうがより高いパワー発揮をするという結果が示され、無負荷の垂直跳びのピークパワーもまた、パワーリフターに比べるとウェイトリフターのほうが有意に高くなりました。
この結果はStoneによっても裏付けられ、彼は、各選手の1RMに対するどの割合の負荷でパラレルスクワットを行なっても、パワーリフターに比べウェイトリフターの発揮パワーが有意に高いことが観察されました。
これらの研究結果から総合すると、ウェイトリフティング選手はパワーリフティング選手よりも有意に大きなパワー発揮、ピーク速度、跳躍高を生み出すことが示唆されます。
引用・索引Santos E and Janeira M Effects of complex training on explosive strength in adolescent male basketball players J strength Cond Res22.903-909.2008
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