活動後増強(PAP:Postactivation potentiation)
競技力への短期的効果という観点から、レジスタンスエクササイズ後に筋のパフォーマンスが向上するという、活動後増強(PAP:Postactivation potentiation)効果による現象を利用することが関心を集めています。
活動後増強と競技パフォーマンス
そこで、数種類のスクワットバリエーションを行なった後、PAP効果によってスプリントのパフォーマンスが向上するかを調べる研究がYetter&Moirにより行われました。
身体活動の活発な男性10名に、計3回にわたって40mスプリントを試行させ、各試行前にはコントロール条件(4分間のウォーキング)、バックスクワット(BSq)プロトコル、フロントスクワット(FSq)プロトコルのいずれかを行わせ、プロトコルは、30%1RMを5レップ、50%1RMを4レップ、70%1RMを3レップでした。
コントロール条件と比較して、BSqの実行後は、10~20mおよび30~40mの両区間のスピードが速くなりました。
FSqの実行後は、スプリントのパフォーマンス向上は観察されませんでしたが、これは、FSqがPAPを引き起こさなかったのではなく、負荷に原因がある可能性があり、FSqの1RM値(113.8±25.7kg)は、直接測定されたBSqの1RM値(142.2±32.1kg)の80%相当として算出されたものであり、そのためFSqに用いられた負荷(30%1RM:34.1±7.7kg、50%1RM:56.9±12.9kg、70%1RM79.6±18.0kg)はBSqの負荷(30%1RM:42.7±9.6kg、50%1RM:71.1±16.1kg、70%1RM99.5±22.5kg)に比べて低くなりました。
研究者らは、FSqに用いられた負荷が低かったことが、股関節伸展筋群の活動レベルを制限し、ひいては潜在的なPAP効果が抑えられた可能性があると結論づけています。
そのため、FSqが様々なパフォーマンス測定値をもたらすPAP効果については、より確かな結論を得るためにさらなる研究が必要であり、その際にはFSqの1RM値から直接算出した負荷を用いなければなりません。
引用・索引Markovic G, Jukic I, Milanovic D, andMetikos D. Effects of sprint and plyometric training on muscle function and athletic performance. J Strength Cond Res 21: 543–549, 2007.

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