ジャンプシュラッグ
ジャンプシュラッグ(JS)は、スナッチやクリーンを指導する際にウェイトリフティング動作のバリエーションとして、もしくは単独のトレーニング種目としてよく実施されます。
ジャンプシュラッグはバリスティックな性質を伴い、アスリートの競技パフォーマンスに必要不可欠な下肢の高いパワー発揮をもたらします。
下半身の筋パワー向上としてのジャンプシュラッグ
ジャンプシュラッグは下半身の爆発的エクササイズであり、下半身の筋パワーの向上を目的として用いられ、またセカンドプルと、股関節、膝関節、足関節の完全な伸展に重点を置くため、クリーンやスナッチの段階指導にも利用されます。
開始姿勢を変えることも可能であり、静止姿勢からも反動動作からも行うことが可能であり、また大腿中央部からも膝関節の上、また下からも実施することが可能になります。
関与する筋群
JSに関与する筋群は、これまでの論文において解説されているウェイトリフティングの派生エクササイズサイズと同様になります。
開始姿勢の静止局面とセカンドプル前の伸張性/短縮性筋活動局面(体幹と上肢の筋組織)
脊柱起立筋(腸肋筋、最長筋、棘筋)、深部脊柱筋群(回旋筋、棘間筋、多裂筋、横突間筋)、腹直筋、腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腰方形筋、上腕三頭筋(長頭)、三角筋、肩甲下筋、広背筋、前腕の屈曲筋群と伸展筋群、腕撓骨筋、僧帽筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、棘下筋、下後鋸筋、大菱形筋、小菱形筋、棘上筋。
反動動作の下降局面(下肢)
ハムストリングス(大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋)、大殿筋、大腿四頭筋(大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋)、腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長母指屈筋、指屈筋、長腓骨筋、短腓骨筋。
バーの最下点からの上昇局面と大腿中央部からの推進局面(セカンドプル、全身)
僧帽筋、頭板状筋、頚板状筋、肩甲挙筋、小菱形筋、大菱形筋、上後鋸筋、三角筋後部、小円筋、大円筋、脊柱起立筋(腸肋筋、棘間筋、棘筋)、深部脊柱筋群(回旋筋、棘間筋、多裂筋、横突間筋)、腹直筋、腹横筋、外腹斜筋、内腹斜筋、大腿四頭筋(大腿直筋、中間広筋、内側広筋、外側広筋)、大殿筋、ハムストリング(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)、腓腹筋、ヒラメ筋、後脛骨筋、長母指屈筋、指屈筋、長腓骨筋、短腓骨筋。
エクササイズの効果
JSは下肢のパワーを向上させるエクササイズであり、さらに、ウェイトリフティング動作におけるセカンドプル局面のテクニック改善の指導ツールとしても役立ちます。
これまでの研究によると、JSは絶対的負荷が同じハングパワークリーンやハングパイプルよりも大きな力、大きな速度、大きなパワーを生み出す可能性があります。
したがって、JSは下半身のパワーを向上させるだけではなく、主要エクササイズとして考えるべきとされています。
また、JSでは腰よりも上にバーを挙上する必要がないため、より大きな過負荷を利用できると考えられており、バーを挙上する必要のあるクリーン、スナッチ、その他のウェイトリフティングのバリエーションで通常用いるよりも、重いウェイトを利用できるために、バリスティックなエクササイズを過負荷で行うことになり、最終的にはより大きな力の立ち上がり速度を獲得できると考えられています。
引用・索引Beckham GK Mizuguchi S Carter C Sato K Ramsey M Lamont H Hornsby G Haff G Stone M Relationsips of isometric midthigh pull variables to weightlifting performance J Sports Med Phys Fitnes53:573-581:2013

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