グリップの向きによる筋活動の違い
Youdasらによると、プルアップでは、スピネイティッドグリップ(45±22%最大随意等尺性筋活動:MVIC)よりもプロネイティッドグリップ(56±21%MVIC)のほうが、僧帽筋下部の筋活動が大きくなりました。
また、360°回転が可能な2つのハンドルを用いてパーフェクト・プルアップを行う際のグリップ(プロネイティッドグリップで運動を開始して、スピネイティッドグリップで運動を終了する)(71±52%MVIC)のほうが棘下筋の筋活動が大きくなりましたが、広背筋の筋活動は、スピネイティッドグリップのチンアップ(117±46%MVIC)よりも、パーフェクト・プルアップ(130±53%MVIC)のほうが大きいことが認められています。
さらに、大胸筋と上腕二頭筋の筋活動は、プロネイティッドグリップ(それぞれ44±27%MVIC、78±32%MVIC)よりもスピネイティッドグリップ(57±36%MVIC、96±34%MVIC)のほうが大きくなりました。
また、各エクササイズにおいて広背筋の%MVICは、測定された全ての筋の%MVICよりも大きかったことは注目すべき値になります。
グリップ幅と向きによる筋活動への影響
Luskらは、グリップ幅(ワイドとナロウ)と前腕の向き(ワイドとナロウの両方でスピネイティッドとプロネイティッド)が、ラットプルダウンの筋活動に影響を及ぼすかどうかを分析しました。
それによると、70%1RMでは、スピネイティッドグリップよりもプロネイティッドグリップのほうが、広背筋の筋活動が9%大きいことが認められました。
しかし、上腕二頭筋や僧帽筋中部の筋活動に関しては、スピネイティッドグリップとプロネイティッドグリップの間にいかなる差異も認められなく、同様にSignorileらは、ラットプルダウンにおけるワイドグリップ(フロント方向とバック方向)とナロウグリップ(スピネイティッドとプロネイティッド)が、筋の活動レベルに及ぼす影響を調査しました。
その結果、プロネイティッドグリップはスピネイティッドグリップよりも広背筋の筋活動が大きいことが示されました。
また、大胸筋の筋活動はスピネイティッドグリップよりもプロネイティッドグリップのほうが大きくなりました。
引用・索引Comfort P,Kasim P,Optimizing squat technique,J strength Cond Res29:10-13.2007
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