相対的タイミングとテクニック習得
スナッチとクリーン&ジャークはウェイトリフティング競技を構成する2種目のリフトになります。
クリーン&ジャークのバリエーションであるパワークリーンは、多くの競技にとって効果的な強化エクササイズとなっています。
リズム、すなわち相対的タイミングは、テクニック習得に寄与する指導上の重要な要素であり、パワークリーンの習得にも活用できます。
クリーンプルとスナッチプルvs伝統的デッドリフト(最大に近い負荷のデッドリフトを観察した結果、発揮パワーとエネルギー消費量はオリンピックスタイルリフトの35%程度である)
タイミング習得と大きな力発揮
パワークリーンにおいては、一連の素早い動作により地面に対して大きな力を発揮しなければなりません。
そのため、クリーン&ジャークから派生したパワークリーンは、高いパワー発揮能力と爆発力の獲得に理想的なエクササイズであり、多くの競技に取り入れられています。
パワークリーンの相対的タイミング、すなわちリズムは、このリフトの連続的動作を成功させる上で重要な要素のひとつになります。
高校生アスリートのにおけるウェイトリフティング(女子アスリートにおいてはクリーンやスナッチ等の「キャッチ」局面での減速が前十字靭帯損傷の予防に有効である)
リズムとは何か
リズムとは、ある運動スキルが有する一定のテンポのことであり、それが運動スキルの種類を分ける要素となっています。
この一定リズム構造は、運動スキルの速度にかかわらず、すべての運動スキルに組込まれていると考えられており、実験環境下で運動スキルを調べた研究において、Franks&Stanleyは一定のリズム構造が存在する証拠を得ました。
Franks&Stanleyは、学生たちにコンピューターが生成する波形の軌跡をジョイスティックを使って追跡する課題を行わせたところ、被験者がリズミカルな動作パターンを獲得することを発見しました。
また現場環境下で行われた研究においても、ハードル競技、水泳、バレーボールのスパイクなどの競技スキルに「安定した固有のタイミング」構造が存在することが示されました。
この一連の研究結果を踏まえて、運動スキルのリズム要素を習得することは、スキル習得への重要なステップであるとの提言がされています。
パワー向上法としての混合トレーニング(バックスクワットは筋力と同時に、力-速度関係の大きな力と低速の領域の向上に利用でき、パワークリーンは力-速度曲線の大きな力と高速の領域を発達させるために用いる)
引用・索引Butcher LA.1-2-3Kick:An Examination of the Use of an Audible Rhythm Patteron Kicking Performance Philadelphia.PA:Temple University.2003