スタチン誘発性ミオパシーの機序
スタチン誘発性ミオパシーの正確な機序は不明であり、非運動者と運動者においてミオパシー発症の経路が同じかも不明とされています。
しかし、様々な実験で多くの要因が指摘されているため、複数の要素の組み合わせによってミオパシーが発症する可能性があります。
脂質低下薬と副作用(服用量が増すとLDL-Cが減り、心臓血管系リスクが効果的に低下する一方、高用量になるほどスタチン誘発性ミオパシーのリスクが高まる)
スタチン誘発ミオパシーの原因とは
例えば、スタチン誘発性ミオパシーはミトコンドリア機能障害が原因であることを示す研究があります。
スタチンはコレステロール合成の律速段階を阻害して、重要な前駆体分子であるメバロン酸塩に影響を及ぼしますが、これによってコエンザイムQ10(CoQ10)などの必須分子も減少します。
そしてミトコンドリアはCoQ10を含み、細胞の代謝やエネルギー産生に重要な役割を担っています。
したがって、ミトコンドリアの機能障害は、筋の機能とパフォーマンスに影響する可能性があり、また、スタチンは様々なタイプの細胞で細胞死を誘発することも示されています。
そして、骨格筋細胞における細胞死は、筋のパフォーマンスを左右し、さらに、スタチンがもたらすコレステロール量の低下は細胞膜の流動性に影響を及ぼすため、運動中の筋が大きな力にさらされると、スタチン誘発性ミオパシーを発症する可能性があります。
加えて、ある種の遺伝的変異が存在する場合は、スタチン関連の副作用を起こしやすいことが報告されています。
有酸素性エネルギー産生(酸素で消化吸収された栄養素(糖質、脂質、タンパク質)を水と炭酸ガスまで分解しATPを再合成を行い、エネルギーを生み出す仕組み)
心臓血管系トレーニングの循環器系への生理学的作用(心拍出量の増加や心拍数の減少による心臓機能の獲得、ミトコンドリアの増加、筋グリコーゲンの増加)
引用・索引Meador BM Huey KA Statin associated myopathy and its exacerbation with exercise Muscle Nerve42:469-479.2010