選手にとってトレーナーこそが大事な存在
トレーニングマシンも設置。左壁際には酸素カプセルも見える
三浦 そのようなトレーナー哲学を持つまでに影響を受けた人はいらっしゃいますか?
中島 体幹トレーニングの木場克己先生と現役のACミランのメディカルトレーナーである遠藤友則先生 です。お二方とも、すごく気さくで楽しいお人柄なんですが、選手との信頼関係を大事にされる姿勢はとても真摯であり、お会いするたびに 「この仕事は一生勉強だな」 と感じます。
三浦 トレーナーにもいろんな方がいて、中島院長や木場先生や遠藤先生のように選手の側に立って親身に考えてくれる人もいれば、フロントや監督の顔色をうかがってばかりの人もいます。そういう日和見のトレーナーは選手のリハビリに消極的で、選手がいつまでも治らないし、なかなか復帰できないことになるんです。選手は辛い時間を長く過ごすことになり、やがて 「俺はもう復帰できないんじゃないか」 なんてネガティブな考えを抱くようになってしまう。お話をうかがって、「中島院長にはもっと早く出会いたかったなあ」 と思っています(笑)。それくらい、選手のメンタルにトレーナーは影響するんですよ。
中島 本当にそうだと思います。選手の 「一日も早く復帰したい」 という焦りを理解しつつ、トレーナーとしては 「あと一日我慢してほしい」 という思いもあって、復帰できるかできないかのギリギリのところでせめぎあうのが、アスリートとトレーナーの関係なんでしょう。ですから、相互理解といいますか、信頼関係は大事なんですね。
三浦 そのトレーナーの視点で、今後、どのような医院にしていきたいですか?
中島 今は高校野球や大学野球に帯同して診る活動もしているのですが、お客さんには小中高生も多く、いずれは小中学生のクラブチームを持って、自分のようなトレーナーが活躍できる環境づくりができればと考えています。子供たちに早い時期からトレーナーが付けば、自分で自分をケアできる選手になりますからね。スポーツが強くなるのは技術の指導だけじゃなくて周りの環境整備という部分も重要だと思います。
三浦 そうですね。ぜひ、ご自身の信念を貫いてほしいです。「やる」 って決めたらとことんやることが大事ですから。何ごとも、いろんなマイナス条件もあるかもしれないけど、なるべくそれを排除して、目標に向けて 「何を」 やればよく、「何が」 自分に足りていないかを考えながら取り組んでください。応援しています。
中島 ありがとうございます。憧れの三浦さんに励ましていただいて嬉しいです。頑張ります。
「仕事を楽しむ」とは‥
トレーナーは選手と二人三脚です。怪我などでつらい時期を一緒に頑張ったぶん、復帰して活躍する姿を見た時はすごく嬉しくて、多少の苦労や疲れは吹っ飛んでしまうんですよね。 (中島裕之)
引用・索引 B+仕事を楽しむWebマガジン 経営者インタビュー2013年12月号